【11月26日 AFP】オーストラリアの国営造船会社ASCについて「カヌーを造る」能力さえ信用できないと発言した同国のデビッド・ジョンストン(David Johnston)国防相は26日、辞任要求を浴びせられつつ発言を撤回した。

 普段は穏やかなジョンストン国防相が前日夜、豪上院で口にした暴言に対しては野党を中心に辞任を要求する声が上がり、トニー・アボット(Tony Abbott)首相がASCを公式に擁護する一幕もあった。

 ジョンストン国防相の発言が飛び出した場面では、豪海軍の次世代潜水艦をASCが建造すべきか、国外へ発注すべきかをめぐり白熱した議論が交わされていた。この発注先としては日本の名前が挙がっている。

 ジョンストン氏は、ASCの防空駆逐艦(Air Warfare Destroyer)3隻の建造計画が2億9900万ドル(約350億円)の予算超過で、費用はさらに膨らむ恐れがあると指摘し「私がどうしてASCについて心配しているのか、ASCがわが国の納税者に何をもたらすことができるのか、カヌー造りでさえも、私が(ASCを)信用できないわけを知りたいというのか」と述べていた。

 ジョンストン氏は、自分の発言は「オーストラリア潜水艦企業体(Australian Submarine Corporation)」を前身とするASCを非難するものではなく、世界級の潜水艦建造能力を確立するために歴代政府が直面してきた困難を強調することが意図だったと釈明している。

 しかし、野党・労働党のビル・ショーテン(Bill Shorten)党首は、自国の潜水艦製造企業の名をおとしめたとしてジョンストン国防相の辞任を求めた。また野党のペニー・ウォン(Penny Wong)上院議員も「重労働を行っている何千というオーストラリア人を侮辱した人物」だと非難している。(c)AFP