【AFP記者コラム】ベルリンの壁崩壊、その時記者たちは
このニュースをシェア
【11月30日 AFP】ベルリン(Berlin)にあるAFPのドイツ支局の窓からポツダム広場(Potsdamer Platz)を眺めれば、かつてあの壁がそびえ立っていた場所がちらりと見える。壁が立っていた場所には今、敷石が2列埋め込まれている。毎日、支局に行くときに目にするこの敷石のライン。そこには「ベルリンの壁 1961-1989」と刻まれている。
25年前の11月9日、ベルリンの壁は市民の高揚感の中で崩壊した。壁の建設が始まったのは、さかのぼること28年前の1961年8月13日。あの日に奪われた自由を取り戻そうと押し寄せた何万人ものベルリン市民によって、壁はわずか数時間で取り壊された。
「Tor Auf! Tor Auf!(扉を開け!)」と叫ぶ群衆は熱狂の渦に包まれていた。彼らを前にしたAFPの記者たちは、まさに自分が歴史的瞬間の目撃者になることを感じていた。当時の西ドイツの首都ボン(Bonn)の支局長で、東ベルリンの側から取材していたルック・ドゥバロシェ(Luc de Barochez)は、「取材中に泣いたのはあの時だけだ。あの時のパワーは今でも鮮明に覚えている」と語る。
両方の側から壁が崩壊していくさまを報じたリチャード・インガム(Richard Ingham)記者は、「気分が落ち込んだときは、あの日のことを思い出す。あの日は美しい出来事の基準になっている」と語る。「世界が変わる瞬間を報じていると感じたし、名誉なことだと思った」
最初のつるはしがコンクリートの壁に振り下ろされ、スパークリングワインのコルクが寒空を飛び交う半日ほど前、記者たちはすべての始まりのきっかけとなる言葉を耳にしていた。東ドイツ政府の報道官、ギュンター・シャボウスキー(Guenter Schabowski)がこの日の夕方の記者会見で述べた「直ちに、有効だ」という言葉だ。この発言が20世紀の歴史を変えることになった。