彗星着陸機フィラエの「着地音」公開
このニュースをシェア
【11月21日 AFP】欧州宇宙機関(European Space Agency、ESA)の彗星(すいせい)着陸探査機「フィラエ(Philae)」が先週、世界初の彗星着陸を果たした際、この歴史的出来事を高らかに祝うトランペット演奏はなかったが、その代わりに聞かれたのは、鈍く軽やかな「ボトン」という音だった。
フィラエを管制するドイツ航空宇宙研究センター(German Aerospace Centre、DLR)の科学者チームは20日、フィラエが67P/チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(Comet 67P/Churyumov-Gerasimenko)に着陸した際の振動を、同機の3本の脚に設置されたセンサーで記録したと発表した。
宇宙空間では音はしないが、同チームはこの振動を記録した2秒間の信号を音声に変換した。音声ファイルはhttp://www.dlr.de/dlr/presse/en/desktopdefault.aspx/tabid-10172/213_read-12221/year-all/#/gallery/17248で聞くことができる
DLRの科学者、クラウス・サイデンスティッカー(Klaus Seidensticker)氏は、着地音はほんの一瞬だが、彗星表面に関する貴重な知見を提供するものだと話す。「着陸機フィラエの脚は、まず厚さ数センチの軟らかい層に接触、その数ミリ秒後に硬い、おそらく氷の層と思われるものにぶつかった」という。
10種類の科学機器を搭載するフィラエの母機である彗星周回探査機「ロゼッタ(Rosetta)」は、10年にわたり太陽系を旅した後、67Pと「ランデブー」し、12日にフィラエを降下させた。
総重量100キロのフィラエは、2本の銛を使った彗星表面への固定に失敗。最初の着地時に大きくバウンドし、少し離れた所でもう一度バウンド、3回目の着地でようやく落ち着いた。
だが、少し傾いた状態で崖の陰に着地したため、太陽電池パネルに光が当たらずバッテリーの充電ができなくなった。
60時間近い調査活動を行った後に「休眠」状態に入ったフィラエは、休眠直前に重要なデータを全てロゼッタに送信していた。
1993年に承認されたロゼッタ・ミッションの目的は、彗星の組成を調査することだ。彗星は、46億年前の太陽系形成時から残存している太古の氷と塵(ちり)の塊と考えられている。(c)AFP