パリ市、三角形の高層ビル建設計画を否決
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【11月21日 AFP】仏パリ(Paris)市議会は17日、同市南西部ポルト・ド・ベルサイユ(Porte de Versailles)地区にあるパリ見本市展示会場(Parc des Expositions)の中に計画されていた三角形の高層ビルの建設を、賛成78票、反対83票で否決した。
スイス・バーゼル(Basel)の建築設計事務所ヘルツォーク&ド・ムーロン(Herzog & de Meuron)が設計を手がける高層ビル「トゥール・トリアングル(Tour Triangle)」が完成すれば17年までに、地上43階、高さ180メートルの三角形の複合ビルに展示場やコンサートホールが入居する予定だった。
パリでは1973年にオープンした210メートルの高層ビル「トゥール・モンバルナス(Tour Montparnasse)」が、芸術家の街といわれた南部モンパルナス(Montparnasse)地区の景観を壊したと酷評され、中心部の建設物の高さを37メートル以内に規制する条例ができた。しかし市は10年に条例を改定し、パリ市外を囲む環状線周辺では集合住宅で50メートル、商業建築物で180メートルの高さまで許可するようになった。
これを受け「トゥール・トリアングル」は13年7月に建設が認可されたが、すぐに環境運動家や景観保護活動家が反対し共闘。市民からも大きな支持を受けた。また英ロンドンの高層ビル「ガーキン(Gherkin)」を設計した英建築家ノーマン・フォスター(Norman Foster)氏までもが「パリに高層ビルは不要だ」と支援にまわった。さらに国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)も論争に分け入り「現存する数少ない水平な都市」の景観を脅かす問題だと警告した。
パリ市民の大半の反対にもかかわらず計画を後押ししてきた同市のアンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)市長は、市議会の否決を受け、投票の無効を訴える法的措置も辞さないしている。(c)AFP/Stephanie LEROUGE