【11月19日 AFP】南米コロンビアの左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(Revolutionary Armed Forces of ColombiaFARC)」は18日、行方不明になっている軍准将ら3人の軍人を拘束していると認めた。この件で半世紀に及ぶ紛争の終結を目指す政府とFARCの和平交渉が中断している。

 FARCに拘束されたのはルーベン・アルサテ(Ruben Alzate)准将、ホルヘ・ロドリゲス(Jorge Rodriguez)伍長、グロリア・ウレーゴ(Gloria Urrego)顧問の3人。太平洋に面したチョコ(Choco)県で民間のエネルギー開発プロジェクトの現場にボートで向かっていたところ、16日に消息を絶っていた。

 キューバで政府との和平交渉に臨んでいるFARC側の担当者らは当初、この誘拐事件について一切関知していないとしていた。しかしコロンビアの山中からFARCの一部隊が、FARC公式ウェブサイトに3人の拘束を認める声明を掲載。FARC側は「(人質の)生命と、心身の健康を尊重する」と約束しているものの、発表内容が二転三転したことで、国内で停戦しないまま和平交渉を行っていくことの難しさが改めて浮き彫りになった。

 経済的に遅れたチョコ県で対ゲリラ戦を率いているアルサテ准将は、過去50年にわたる紛争中にFARCが拘束した中で最高位の将官。

 FARCと政府との和平交渉は19日で2周年を迎えるが、今回の誘拐事件により和平プロセスは崩壊の危機を迎えた。

 反対派から強い反発を受けつつもFARCとの和平交渉を政権運営の重点に据えていたフアン・マヌエル・サントス(Juan Manuel Santos)大統領は17日、交渉の行方は不透明になったと警告。「FARCの出方次第だ。今どう行動するかという判断の仕方によって、われわれが引き続き前に進めるかどうかが決まる」と述べていた。

■4度目の和平交渉

 農民蜂起後の1964年に結成されたFARCは、コロンビアで現在も活動を続けている最大のゲリラ組織で、約8000人の戦闘員がいるとされる。

 過去50年に及ぶ紛争には時に麻薬密売組織や右派民兵も関与し、22万人以上が死亡、500万人以上が自宅からの避難を余儀なくされた。紛争の終結を目指し、現在4回目の交渉が行われているさなかだった。(c)AFP/Alexandre GROSBOIS