【11月18日 AFP】シリアで拉致されイスラム教スンニ派(Sunni)過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に殺害された米国人援助活動家、ピーター・カッシグ(Peter Kassig)さん(26)の両親が17日、記者会見し、わが子の命を奪ったイスラム国の戦闘員たちを「許す」努力をしたいと表明した。

 イスラム教に改宗してアブドゥルラーマン(Abdul-Rahman Kassig)と改名していたカッシグさんはイラク戦争に従軍した元米兵で、民間の援助団体を立ち上げ、約150人のスタッフを組織してシリアで医療・食料・生活面など多方面での人道支援活動を行っていた。昨年、何者かに拉致されて行方が分からなくなっていたが、イスラム国が16日にカッシグさんを殺害する動画を公開した。

 教会前で会見した父親のエド・カッシグ(Ed Kassig)さんは「私たち家族に(息子の死を)悼み、涙を流し、そして許し、癒やされていくための時間とプライバシーを下さい」と語った。

「息子のために、この夕日に祈って下さい。また、シリアで、イラクで、そして世界中で自らの意思に反して捕らわれの身となっている人たちのためにも祈って下さい」

 母親のポーラ(Paula Kassig)さんは、息子の死によって家族は世界が引き裂かれたような思いでいるとして、心の傷を癒やすことに集中したいと述べた。

「息子は、暗闇に打ちのめされるよりも、善良さを、自分自身を、他人を信じることを選びました。1人の人間が違いを生み出すこともできるのです」

「私たちの心はたたきのめされましたが、傷はいずれ癒えるでしょう。世界は破壊されましたが、いつか修復されるでしょう」

 カッシグさんはこの数か月でイスラム国が殺害した5人目の欧米人の人質。これまでに米国人記者2人と、英国人の援助団体関係者2人が殺害されている。(c)AFP