サメよけの電気バリアー、南アで実験
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【11月17日 AFP】サメの鼻先が非常に微弱な電流も感知することを利用し、サメを傷つけることなく人間を守る新たな技術の実験が南アフリカで行われている。
ケープタウン(Cape Town)の小さな入り江で試験されているのは、電気バリアーを用いた画期的なサメよけの手法だ。サメの頭部先端にある敏感な電気受容器官を利用し、人間の安全を守ろうというものだ。
この技術を使い、南アの研究者がサーファーやダイバー向けに開発した携帯型サメよけ装置「シャークポッド」(shark pod)はすでにオーストラリア企業が販売しており、成功すれば世界中で売り出される可能性がある。シャークポッドの実績と長年の研究から、サメが電流を避ける性質が判明し、より大規模なサメよけの実験が行われることとなった。
実験は、低周波の電界を発生させる長さ100メートルのケーブルを海底に設置するというもの。現在グレンケアン・ビーチ(Glencairn Beach)沖に取り付けを行っている段階で、作業完了後、5か月間にわたりケーブルは海底に残される。
サメの頭部先端には電流を感知するゼリー状の物質が詰まっており、その電気受容感覚は他の生物よりも鋭く、暗い海中でも獲物の心臓の鼓動などから発せられる微量の電流を捉えることができる。これを逆手にとると微弱な電流を流せば、アザラシやイルカなどサメ以外の生物には影響を与えずに、サメだけが電気バリアーに近づくと刺激を感知し、方向を変えて立ち去る。
南アの東海岸、クワズール・ナタール(KwaZulu-Natal)州周辺では過去50年間、サメよけ対策に網が使用されてきた。しかし網は他の生物も犠牲となる恐れがあり、生態系の破壊につながると批判されてきた。電気バリアーによるサメよけの技術は、これまでの状況を大きく変えるものだ。(c)AFP/Lawrence BARTLETT