【11月15日 Relaxnews】眠っている間に嗅覚を刺激することで禁煙できる可能性を示した論文が、12日発行の米専門誌「神経科学ジャーナル(Journal of Neuroscience)」に掲載された。

 睡眠中の「条件付け」(ある条件に対して特定の反射や反応を引き起こすよう人や動物に学習させること)が人間の行動を変化させる可能性について研究しているイスラエル・ワイツマン科学研究所(Weizmann Institute of Science)の研究チームは、感覚刺激の中で唯一、人を眠りから目覚めさせない嗅覚を利用した。

 研究チームは禁煙を望んでいる喫煙者66人を3つのグループに分けた。第1のグループには睡眠実験室で一夜を過ごしてもらい、睡眠中に2種類の悪臭を嗅がせた。一つは腐った卵の臭い、もう一つは魚の臭いで、どちらもたばこの煙と混ぜてあった。翌朝、被験者たちには悪臭を嗅いだという記憶は残っていなかったが、実験後の1週間に吸ったたばこの本数はいつもよりも少なくなったと回答した。

 第2のグループには目覚めているときに同じ悪臭を嗅がせ、第3のグループには睡眠中に腐った卵、魚、たばこの煙の臭いを別々にかがせたが、両グループともに実験後の1週間に吸ったたばこの本数は減らなかった。

 最良の禁煙結果が出たのは、ノンレム睡眠のステージ2(4段階ある睡眠の深さのうち2番目に浅い)のときに悪臭とたばこの煙が混ざった臭いを嗅がされたグループで、実験後に喫煙量は30%減っていた。

 論文を執筆したアナト・アルジー(Anat Arzi)博士は「まだ睡眠中に禁煙する方法を発明したわけではない。それには全く別の研究が必要だ。ただし『条件付け』は睡眠中にも可能で、その条件付けによって行動が変化し得ることが示された」と説明している。(c)Relaxnews/AFPBB News