【11月15日 AFP】今年10月に目撃された不審船の大規模な捜索活動を実施したスウェーデン政府は14日、国籍不明の小型潜水艦が自国の領海に侵入していた証拠があると発表した。

 スウェーデン軍のスベルケル・ゲランソン(Sverker Goeranson)最高司令官は報道陣に対し、「外国勢力による深刻かつ容認し難い違法行為だ」と述べる一方、潜水艦の国籍を特定することはできなかったと述べた。

 軍艦や掃海艇、ヘリコプター、200人以上の兵士を動員して1週間にわたって行われた今回の捜索は、冷戦(Cold War)時代に同国の長く険しい海岸線に沿ってソビエト船籍とみられる潜水艦との間で繰り広げられたいたちごっこを想起させた。ステファン・ロベーン(Stefan Loefven)首相は、「わが国領海への侵入を企てている者は、違法行為を犯すことに伴う多大なリスクを認識すべきだ」と述べ、領海侵入に対して厳しい警告を発した。

 10月17日に「人工の物体」を目撃したという情報が寄せられたのを発端に、首都ストックホルム(Stockholm)周辺の海で「何か」を見たという情報が数百件も寄せられていた。

 これまでスウェーデン政府はロシアを名指しで批判することは避けている。しかし、ウクライナ紛争以降のロシア政府の強硬姿勢や、バルト海(Baltic Sea)上空でロシア空軍の活動が活発になっていることに対するスウェーデンなど北欧各国の懸念は今回の騒ぎでさらに強まった。

 スウェーデンが潜水艦の捜索を実施していた間、ロシアは当該海域を航行中の自国の艦艇はないと発表し、目撃されたのは10月17日より前にスウェーデン海軍と合同演習を実施したオランダ軍の潜水艦だろうと主張したが、オランダ政府はこれを否定している。(c)AFP/Tom SULLIVAN