【11月14日 AFP】米ホワイトハウス(White House)に9月に男が侵入した事件で、警備担当の警護官が個人的な電話をかけていたなど大統領警護隊(シークレットサービス、US Secret Service)に複数の失態があったことが、内部調査で発覚した。13日の米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)が報じた。

 この事件はイラク駐留米軍への従軍歴がある退役兵オマル・ゴンザレス(Omar Gonzalez)容疑者(42)が、ナイフを手にホワイトハウス周囲の警備網を突破して内部に侵入し、逮捕されたもの。米国土安全保障省(US Department of Homeland Security)が行った内部調査は、「運用的、組織的、技術的」な失態によって侵入を許したと指摘している。

 侵入事件発生時、ホワイトハウスのノースローン(North Lawn、北庭)には警備犬を連れた警護官1人が常駐し、警備に当たっているはずだった。ところが、この警護官はワゴン車の中で私物の携帯電話を使い、個人的な電話をかけていた。

 そのため警備犬は、フェンスを乗り越えて侵入し庭を走って横切るゴンザレス容疑者を取り押さえられなかったばかりか、容疑者の姿を「見ることすらなかった可能性がある」と報告書は批判している。

 内部調査では、ホワイトハウスのフェンスをよじ登るゴンザレス容疑者を、周辺の道路を巡回していたシークレットサービスのチームが発見していたことも明らかになった。警護隊員らはゴンザレス容疑者に止まるよう命じて銃を抜いたが、容疑者は武装していないと考え、発砲しなかった。

 さらに、ホワイトハウス正面玄関の外側付近で容疑者と遭遇した別の警護官も、容疑者は武装していないと考え発砲しなかった。この警護官は、玄関の扉は閉まっているはずで侵入者はそこで追い詰められるはずだと考え、ゴンザレス容疑者を追わなかったが、実際には扉は開いていた。

 ゴンザレス容疑者は扉のところにいた女性警護官1人を突き倒して建物内へ侵入し、公式セレモニーが行われるイーストルーム(East Room)に到達。さらに廊下を突進しているところを、勤務時間が終了したばかりの警護官2人によってようやく取り押さえられたという。(c)AFP