【11月13日 AFP】(14日記事更新)サッカーの2018年W杯ロシア大会(2018 World Cup)と2022年W杯カタール大会(2022 World Cup)の招致で買収疑惑が出ている問題で、国際サッカー連盟(FIFA)は13日、再投票は行わないと明言した。

 42ページからなるFIFA倫理委員会の報告書は、招致の過程で懸念すべき行為が複数みられたが、再投票を実施べきとする十分な証拠はなかったとまとめている。

 倫理委員会のハンスヨアヒム・エカート(Hans-Joachim Eckert)氏は、「2018年と2022年のW杯招致活動について、品位を損なう複数の出来事が認められた」としながらも、「問題は非常に限定的な範囲であり、再投票実施の必要性につながる要因には程遠いものだった」と結論づけた。

「これにより、W杯招致に関する倫理委員会の調査は終了した」

 しかしながら、倫理委員会の報告書では、スポーツ界で最も収益性の高いW杯の品位を守るために、将来の招致活動について改革の必要性を提言している。

 その中には、FIFA執行委員会の任期を4年に定め、同委員会の代わりにFIFA総会で将来の開催地を決め、大陸持ち回りシステムの透明性を向上させること、そして委員会メンバーが候補地を訪問することを禁止するなどの項目が含まれている。

 慣例を破り、2010年に同時に開催地が決定されることになった2018年と2022年の招致活動では、各候補地が駆け引きを繰り広げる結果となった。

 そして真夏には気温が40度まで上昇する石油国家のカタールが2022年の開催地に決まり、大きな論議を呼んでいる。

 再投票は回避されたものの、倫理委員会の報告書では、カタールの招致活動について深刻な懸念が指摘されている。

 報告書ではまた、2012年からサッカー活動を禁止されている元FIFA執行委員のモハメド・ビン・ハマム(Mohamed Bin Hammam)氏の役割に関する調査についても述べられていた。

 英日曜紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)は6月、湾岸の小国に対する支援を得るため、ビン・ハマム氏が2010年までに500万ドル(約5億1200万円)以上を世界中の関係者にばらまいたという疑惑を報じていた。

 しかしながら報告書では、2022年W杯招致を操作するためというよりも、2011年のFIFA会長選挙でビン・ハマム氏が自身の票を集めるために買収を行ったとの見解を示している。

 カタールはまた、2010年にアンゴラで開かれたアフリカサッカー連盟(CAF)の総会で、180万ドル(約2億円)もの援助を決定したことでも疑惑を呼んでいる。(c)AFP/Dave JAMES