【11月13日 AFP】アフリカ大陸をトラクターで縦断したオランダ人女性で「トラクター・ガール」の異名を持つマノン・オズボート(Manon Ossevoort)さんが、約10年越しの夢をかなえようとしている──トラクターでの南極点到達だ。

 計画によると、オズボートさんは、南極大陸の端に位置する露ノボ(Novo)基地から地球上最大の氷の塊を横断し、南極点まで往復4500キロの行程を目指す。この挑戦を撮影するためのクルーを含む、計7人のチームが同行する。

 オズボートさんは2005年、トラクターで故郷オランダの村を出発し、アフリカ最南端のケープタウン(Cape Town)まで4年にわたる旅を続けた。そのまま南極まで移動する予定だったが、予定に遅れが生じたため、アフリカから南極大陸へと向かう船に乗ることができず、旅はそこで中断となってしまった。

 挫折感を味わった元舞台女優のオズボートさんだが、その後はオランダへと戻り、トラクターの旅を続けることを目標に掲げ、本の執筆や数々の公演での演説に4年間を費やした。

 そして、ようやくスポンサーを獲得したオズボートさんは今週、トラクターとともにケープタウンから南極大陸へと飛ぶことになった。南極点へ向け11月20日頃に出発する予定だという。

 オズボートさんは長い間暖めてきた自分の夢をかなえる一方で、前回の旅で通過したアフリカの国々の他、世界中から寄せられた数千の「夢」も一緒に運んでいく。手紙やEメールで寄せられたメッセージをデジタル形式に変換・保存したものを、南極点で作る予定の大きな雪だるまのお腹の中に入れ、80年後に開封してもらう計画だ。「世界中から集めた夢を美しいタイムカプセルにして、未来の子どもたちや(その時代の)人々が政治や戦争ばかりでなく、私たちの夢についても読めるようにしたいのです」

 オズボートさんは、夢を断念させるものは「恐れ」だと説明する。

「夢を実現するのは、トラクターで南極に行くみたいに不可能だ」と多くの人たちは信じているとしながら、「私にとってトラクターとは、何かを成し遂げたいなら、ユーモアのセンスを失わずに進み続けることで、速くはないかもしれないけど必ず到着するという、大地にしっかりと足のついた事実の象徴なのです」とオズボートさんは述べた。

 オズボートさんのトラクターは、1958年に南極点にトラクターで到達した探検家、エドモンド・ヒラリー(Edmund Hillary)卿にちなんで、「Antarctica 2」と名づけられている。

 オズボートさんの進行状況は、ウェブサイトhttp://www.antarcticatwo.com/で確認できる。(c)AFP/Lawrence Bartlett