イスラエル兵がパレスチナ人を射殺、インティファーダ再燃に懸念
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【11月12日 AFP】イスラエルで情勢不安が広がる中、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)で11日、ユダヤ人入植地付近を通行中の車に石や火炎瓶などを投げつけていたパレスチナ人約150人とイスラエル軍が衝突し、パレスチナ人男性(22)が射殺された。
イスラエル軍によると、ヨルダン川西岸南部の都市ヘブロン(Hebron)近郊の入植地キリヤトアルバ(Kiryat Arba)付近で車に石などを投げていた約150人のパレスチナ人を兵士らが排除しようとした際に、兵士らが男性を射殺したとしている。
前日10日にはイスラエル人の兵士1人と入植者1人がパレスチナ人による刃物を使った攻撃を受けて死亡する事件が発生しており、イスラエル全土で警察が警備を強化したばかりだった。
現在広がっている暴力行為の発端となったのは、ちょうど5か月前の今年6月12日に10代のイスラエル人3人が拉致・殺害された事件だった。AFPの集計によると、以後少なくとも17人のパレスチナ人がヨルダン川西岸で死亡している。
さらに、イスラエルが実効支配している東エルサレム(East Jerusalem)で今年7月上旬に10代のパレスチナ人1人が若いユダヤ人の過激派らに殺害されたことをきっかけに暴力的な事件が相次いで起こり、イスラム寺院「アルアクサ・モスク(Al-Aqsa Mosque)」での宗教対立に基づく緊張の高まりや、東エルサレムのイスラエル人入植拡大の動きも相まって情勢は悪化している。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は11日夜に短いテレビ演説を行い、「全土で治安対策を強化し、テロリストの家を破壊し、石や火炎瓶を投げる者には厳罰を科し、その親に罰金を支払わせる」という方針を発表。さらに、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長を「暴力行為を助長している」として、「無責任」だと非難した。
また識者らから、パレスチナ人らによる第3次インティファーダ(パレスチナ住民の反イスラエル闘争)に発展するのではないかと問われたモシェ・ヤアロン(Moshe Yaalon)国防相は、最近の一連の出来事を定義付けするのは時期尚早だという考えを示した。「確かに治安は悪化しており、暴力行為は増えている。かといってどういう位置付けと捉えるかはもう少し様子を見たい」と話した。
一方でヤアロン国防相は、「さらなる情勢悪化の可能性」に備えなければならないと指摘し、国民に警戒を呼び掛けた。(c)AFP/Hazel Ward