ゲーム業界の女性に相次ぐ脅迫、過熱する「ゲーマーゲート」論争
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【11月12日 AFP】米国のゲーム業界で、女性の業界関係者らに対するおぞましい脅迫行為などが相次ぎ、女性が男性と同等なパートナーとして受け入れられているか否かをめぐる論争が巻き起こっている。
2か月以上前から続き、ツイッター(Twitter)上のハッシュタグ「GamerGate(ゲーマーゲート)」の名で知られるようになったこの騒動では、レイプや殺人、遺体切断といった脅迫により、家から逃げ出した女性たちもいる。
騒ぎの発端は8月、インデペンデント系ゲームの開発者ゾーイ・クイン(Zoe Quinn)さんとゲームジャーナリストのロマンスについて、クインさんの元恋人がネット上で中傷を始めたことだった。
だが、ゲームジャーナリズム、特にゲームのレビューにおける倫理向上を求める声から始まったようにもみえるこの騒動は、男性が圧倒的多数を占めるゲーム開発業界の中の性差別や人種差別をめぐる大論争に発展した。
クインさんは、ネット上で自身に対する悪意に満ちた発言や脅迫が相次いだことで、最終的には身の危険を感じて自宅から避難した。
ゲーマーゲートの怒りはウェブサイト「フェミニストフリークエンシー・ドットコム(FeministFrequency.com)」の運営者で、ゲームの中での女性の描かれ方を声高に批判するアニタ・サーキジアン(Anita Sarkeesian)さんにも向けられた。
■女性に対する脅迫
サーキジアンさんは、こうした辛辣な攻撃の根底には報道倫理を向上させたいとの願いがあるとの主張を一蹴。コメディアンのスティーブン・コルベア(Stephen Colbert)さんのトーク番組で、「男性が女性に対する敵意をむき出しにしている。この業界や趣味に関わっている女性を脅しているのだ」と語っている。
ハードコアゲーマーたちは、自分たちは読書やまんが、映画鑑賞と同じように余暇にゲームを楽しんでいるのに、偏見の目で見られ、いじめられていると訴えている。男性がヒーローとして、肌を露出した女性が助けを必要とする存在として描かれる自分たちの無害なファンタジーの世界が、ポリティカル・コレクトネス(政治的公正)によって侵害されている、というのが彼らの主張だ。