1万1500年前の新生児の骨、古代埋葬の手掛かりに 米
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【11月11日 AFP】数年前に米アラスカ(Alaska)州中部で見つかった新生児2人の人骨は1万1500年以上も前のものだったとする米英考古学チームの研究論文が、10日の米科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences、PNAS)に掲載された。発見は、北米大陸初期の人類の埋葬儀式を知る手がかりになると期待される。
論文によると、この新生児の骨格は、北米の亜北極帯で見つかった人骨としてはこれまで知られている中で最も古いもので、地中約40センチの深さの円形の墓穴に埋められていた。2人の骨の上には、火葬された別の子どもの人骨があり、周囲からは装飾が施されたシカの角でできた棒状のものと矢尻のようなものも複数見つかっている。
米アラスカ大学フェアバンクス校(University of Alaska Fairbanks)と英リバプール・ジョン・ムーアズ大学(Liverpool John Moores University)の研究チームによると、アラスカ中部アップワード・サン・リバー(Upward Sun River)で見つかった骨とその歯を分析した結果、1体は誕生から間もなく死亡した新生児のもので、もう1体は妊娠後期の胎児のものだと分かった。
2人は血縁関係にある可能性があり、また放射性炭素年代測定の結果、2人の骨の上で見つかった火葬された3歳児の骨とほぼ同時期に埋葬されたことが分かった。
墓穴からはサケのような魚やリスの死骸も見つかっており、発掘現場には獲物が多い6月から8月の時期に狩猟採集民族が暮らしていたとみられる。
遺骨が見つかった新生児らの死因は不明だが、食料を求めて移動する集団が1か所で3件の埋葬を行ったという事実から、食料不足が原因だった可能性がある。
初期の人類の葬儀についてはほとんど判明しておらず、文字も残されていないことから、考古学者らは発掘結果などを基に断片的な手掛かりをつなぎ合わせて分析するしか手段がない。(c)AFP