【11月11日 AFP】メキシコ南西部ゲレロ(Guerrero)州で今年9月に教員養成大学の学生43人が襲撃され、麻薬組織の構成員らが43人全員の殺害を供述した事件に怒ったデモ隊が10日、同州のリゾート地アカプルコ(Acapulco)の国際空港に向かって行進した。デモ隊は途中警察と衝突し、空港に通じる道路が一時通行できなくなった。

 行方不明になっている43人の親らと、同じ大学に通う学生らが主導したこのデモには数千人が参加した。デモ参加者らの多くは、バットや金属パイプ、なたなどで武装していた。

 ある治安当局者の話では、この空港へのデモ行進を阻止しようとした機動隊に対し、覆面のデモ参加者らの一団が石や火炎瓶を投げつけ、機動隊員11人がけがをしたという。話し合いの結果、デモ隊らは行進の継続を許可された。

 空港に向かう旅行者らはスーツケースを引っ張って徒歩で移動することを余儀なくされた。同空港によると国内線の3便が遅延した。

 この事件で、同国のエンリケ・ペニャニエト(Enrique Pena Nieto)大統領の政権は最大の危機に直面している。さらにこの抗議行動の中、ペニャニエト大統領の周辺に新たな疑惑が浮上した。中国企業を中心とする企業連合が、37億ドル(約4250億円)規模とされる高速鉄道の建設契約を勝ち取っていたが、ペニャニエト大統領の妻が同連合に加盟しているメキシコ企業1社から邸宅を購入していたことが発覚した。

 大統領は先週になって突然この契約を破棄した。大統領報道官は、大統領の妻は自分の資金で住宅を購入したもので、妻の住宅購入の報道と高速鉄道の契約破棄とは無関係だったと述べた。(c)AFP/Carola Sole