【11月10日 AFP】住民の多数をクルド人が占めるシリアのハサカ(Hasakeh)の自治体で、女性に男性と同等の権利を付与する法令が可決された。英国に拠点を置く非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によれば、イスラム過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」が成立させた女性に差別的な法律に対抗する動きだという。

 クルド人が多数派を占めるシリアの周辺3地域は昨年、ジャジーラ(Al-Jazira)地区として自治政府の樹立を宣言した。同政府は前週5日、交流サイトのフェイスブック(Facebook)上の公式ページで、男女が「公的・私的生活のすべての場面で」平等を享受することを定めた法令を発表した。また法令は女性に対するいわゆる「名誉殺人」や「暴力や差別」を禁じている。

 労働の場でも給与を含め男女同権が打ち出された。また女性の結婚は18歳以上とされ、本人の同意なく嫁がせることを禁じている。この他、一夫多妻制の禁止、裁判の際の証言者としての権利の男女平等、全面的な相続権の付与などが含まれている。自治政府内にはアラブ系住民もいるが、男女平等は同自治内のすべての民族に適用されるとしている。

 イスラム教では、男性に扶養能力がある場合には妻を4人まで持つことができるとされている他、相続権や裁判の際の権利について女性には制限が課されている。シリア人権監視団によれば、シリアのクルド人女性にはこれまで一切相続権がなかった。(c)AFP