【11月10日 AFP】米ミズーリ(Missouri)州カンザスシティー(Kansas City)にある病院、トゥルーマン・メディカルセンター(Truman Medical CentersTMC)内のカフェテリアでは、マクドナルド(McDonald's)との契約が予定より2年早い2012年に終了して以後、ファストフードの提供は行われていない──。

 ケンタッキー(Kentucky)州のコセア・チルドレンズ病院(Kosair Children's Hospital)でも、TMCと同様にビッグマック(Big Macs)やチキンマックナゲット(Chicken McNuggets)の提供を止めた。この病院では、1986年の開業当時、患者に提供する目的でマクドナルドと契約を結んでいた。

 米国では、食生活の改善がもたらす恩恵について消費者の間で意識が高まっており、かつてマクドナルドと手を組んだこれら大規模な病院による方針転換は、ファストフードへの需要が減少しつつある米国内の現状を反映するものだ。TMCの元最高責任者のジョン・ブルフォード(John Bluford)氏は、「(もちろん)ファストフードにもふさわしい場所は存在するが、それが病院内とは考えにくい」と語る。

 マクドナルドが2014年第3四半期の決算で、米国内での売り上げ3.3%減を発表するなか、業界紙「ビバレッジ・ダイジェスト(Beverage Digest)」も、昨年の炭酸飲料消費量が1995年と同レベルに減少したことを明らかにしている。

 米国人1人当たりの清涼飲料水の消費量は、1998年には平均約193リットルだったのに対し、昨年は約167リットルだった。

 特に顕著だったのは「ライト」と呼ばれる種類のもので、全体で約6%の減少がみられた。複数の研究論文で一部の人工甘味料に発がん性があることが示唆されたため、消費者の間に不安感が生じたことがその理由とされる。

 企業の活動を監視する米団体「Corporate Accountability InternationalCAI」による反ファストフード運動「Value [the] Meal」を組織するSriram Madhusoodanan氏によると、最近ではファストフードや清涼飲料水を肥満や糖尿病など生涯にわたる健康問題と関連付ける米国人が増加しているという。

 米疾病対策センター(US Centers for Disease Control and PreventionCDC)は2014年2月、2~5歳の肥満児の数は、過去10年間で43%減少と発表。ただ非営利団体、米保健トラスト(Trust for America’s HealthTFAH)は、米国の成人3分の2以上は依然として太り過ぎであるとし、さらなる対策が必要と指摘している。