【11月8日 AFP】1989年11月9日のベルリンの壁(Berlin Wall)崩壊から25周年を迎えるドイツで7日、3日間にわたる記念行事が始まった。

 アンゲラ・メルケル(Angela Merkel)独首相(60)が、共産主義の東ドイツの抑圧的体制から逃れようとして殺害された人々を記念する3日間の行事を主導する。公式統計によると少なくとも389人が命を落としたが、犠牲者のグループは死亡した人の数ははるかに多かったとしている。

 メルケル首相は最新のポッドキャストで「皆、あの日の気持ちは忘れることができないでしょう――少なくとも私は決して忘れません」と語っている。「私は35年も待った末に自由という感覚を知りました。それが私の人生を変えたのです」

「自由を求める勇気」のスローガンを掲げて行われる祝賀行事は、自分たちの政府から28年も囚人のように扱われていた東ドイツ人を取り囲んでいた国境の壁を共産主義政権が開放するに至った平和的な革命を回顧している。 東西ドイツは1990年10月3日、ベルリンの壁崩壊から1年もたたないうちに再統一を果たした。

「ペレストロイカ」と「グラスノスチ」の改革でベルリンの壁崩壊への道を助けた旧ソ連の最後の大統領、ミハイル・ゴルバチョフ(Mikhail Gorbachev)氏(83)は7日、ベルリンの象徴的な旧検問所「チェックポイント・チャーリー(Checkpoint Charlie)」に集まった群衆にあいさつした。

 1989年に抗議の民衆に対する流血の弾圧を避けたとしてドイツで尊敬を集めているゴルバチョフ氏は「私たちが現在このように生きていることに多少の貢献ができたことを私は誇りに思っています」と、歴史の中で自らが果たした役割を控え目に語った。

 9日には欧州冷戦の分裂が終わった喜びを祝う大祭典が催され、一連の行事はロックスターと自由を象徴する人物たちも参加する数百万人の野外パーティーで最高潮に達する。

 かつてベルリンの壁が巡らされていた155キロメートルのうち15キロメートルにわたって7000個近くの白い風船を地面に固定し、周囲が薄暗い中でドラマチックに照明するという、「リヒトグレンツェ(Lichtgrenze、光の境界)」と題された野心的なインスタレーションも作られた。上から見ると真珠が連なっているように見えるたくさんの輝く球体は9日に空に放たれ、ベートーベン(Ludwig van Beethoven)の「歓喜の歌(Ode to Joy)」が流れるなか夜空に浮かぶことになっている。(c)AFP/Deborah COLE