【11月4日 AFP】今年5月に、権力を乱用したとして違憲判決を受け失脚したタイのインラック・シナワット(Yingluck Shinawatra)前首相と、実兄で06年のクーデター以降、事実上の亡命生活を送っているタクシン・シナワット(Thaksin Shinawatra)元首相が中国でパンダと戯れる画像がインターネット上などで広まり、タイ軍主導の暫定政権は国内メディアに対し3日、タクシン元首相に関する「ニュースの掲示」を止めなければ規制を強化するとけん制した。

 インラック前首相に対する違憲判決の直後にクーデターで全権を掌握した軍政統治機関「国家平和秩序評議会」(NCPO)の議長を兼任するプラユット・チャンオーチャー(Prayut Chan-O-Cha)暫定首相は記者団に対し「(タクシン元首相に関する)ニュースを提示しないよう求める。誰もが知っているように彼は法を犯した人物だ」と述べた。さらに、すでにタイ全土に戒厳令を発令し、メディアや社会全般での政治的議論を抑圧している暫定首相は「どうかわれわれ(軍政)に法的権限や権力、武力を行使させないでほしい」と語った。

 軍政にけん制させるきっかけとなったのは、インラック前首相がフェイスブック(Facebook)の個人ページに掲載した写真。実兄のタクシン元首相と共に中国でパンダと戯れる近況の写真だった。タイのメディアは前週末、大々的にこの写真を取り上げ、フェイスブックのインラック氏のページには28万件の「いいね!」が集まった。(c)AFP