空爆でも止まらない外国人戦闘員の流入、イスラム国
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【11月1日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic State、IS)は「空前の規模」で外国人戦闘員を募集していると、専門家や英紙ガーディアン(Guardian)が抜粋を掲載した国連(UN)の報告書が指摘している。
米国の最新の統計によると毎月約1000人の外国人戦闘員がイラクとシリアに入っている。専門家たちは、最近募集された戦闘員は以前募集された戦闘員よりはるかに過激になっている恐れがあると警告している。
ガーディアンによると、国連安全保障理事会(UN Security Council)の調査では2010年以降に集まった戦闘員の数は過去20年間にイスラム国以外の世界の過激派組織に参加した累計人数の何倍にも上っているとされている。
「もともとシリアに向かった多くの外国人戦闘員は、人道的な目的のためと信じて出かけていた」と反過激主義シンクタンク「キリアム(Quilliam)」のエリン・マリー・ソルトマン(Erin Marie Saltman)上級研究員は言う。「いまは危険が少し高くなっている。外国人戦闘員として行くには、殉教を覚悟するまで過激化していなければならない。そういう人たちの大半は帰還を想定していないだろう」
非イスラム教国で最も多くの戦闘員を送り出しているのはロシアで、その数は800人を超えている。米国主導の空爆は彼らの決意を強めるだけだと、カーネギー・モスクワセンター(Carnegie Moscow Center)のアレクセイ・マラシェンコ(Alexei Malashenko)氏は言う。
米中央情報局(CIA)の推定によると、イスラム国やその他の過激派組織に参加している外国人戦闘員は約1万5000人だが、ソルトマン氏は1万6000人近くになっているとみている。
過去の数字をみると外国人戦闘員は今年3月には7000人、7月には1万2000人だった。8月にイスラム国への空爆が始まった後も1か月に1000人のペースで増加が続いていることになる。
米戦略安全保障情報コンサルティング企業のソウファン・グループ(Soufan Group)によると、多くの外国人戦闘員を出しているのはイスラム教国で、チュニジアからは3000人、サウジアラビアからは2500人が参加している。
フランス中東研究所(IFPO)の過激派組織の専門家ローマン・カイエ(Romain Caillet)氏によると、中東と北アフリカの全域でイスラム国の細胞組織の増加を示す証拠が増えてきており、リビアにはすでに3000人の戦闘員がいるという。(c)AFP/James PHEBY