エボラ不安でいじめや収入減、米NYのアフリカ系住民が訴え
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【11月1日 AFP】米ニューヨーク(New York)の西アフリカ系住民たちが、エボラ出血熱に対するパニックの影響で子どもたちが学校でいじめられ、仕事でも損失が出ていると訴えている。
米国では、リベリアから入国した男性が国内で初めてエボラ出血熱の診断を受け、10月8日にテキサス(Texas)の病院で死亡して以来、人々の間にパニックが広まっている。
ニューヨーク在住のアフリカ系住民で構成する団体「アフリカ諮問委員会(African Advisory Council、AAC)」は記者会見を開き、エボラ出血熱への恐怖感を鎮めるための知識普及を求めた。
さらにブロンクス(Bronx)出身のホセ・セラノ(Jose Serrano)議員も、エボラ出血熱に対する無知とパニック状態を、かつてのエイズ(AIDS)に対するものと似ていると指摘し、「地域の安全ともに、住民の保護も必要だ」と訴えた。
ブロンクス地区のコミュニティーリーダーらによると、先週にはセネガル出身の少年2人が学校で「エボラ」と呼ばれたうえ、暴行をうけて病院で手当てを受けている。少年たちは、ニューヨーク在住20年となるタクシー運転手の父親と暮らすために、3週間前にニューヨークに移住したばかりだった。
ギニア出身でタクシー運転手をしているムーサ・クールーマ(Moussa Kourouma)さんも、西アフリカ系の子どもたちは学校で「深刻な問題」に直面していると語る。両親が仕事で家を空けている場合が多いため、いじめをうけると学校に行かず街をぶらつきがちになるという。
ニューヨーク在住ギニア系住民団体の代表を務めるクールーマさんによると、ある5歳の少年は10月27日にエボラ出血熱の感染検査で陰性と判断されたが、友好的でない近所の住民を怖がり、ブロンクスの自宅に帰りたがらないという。
また、エボラ出血熱の流行が最も深刻なギニア、リベリア、シエラレオネからの移民たちは、体調を崩しても病院に行くことや、商売で顧客に自身の出身国を明かすことを恐れているという。
クールーマさんのタクシーでも、ある乗客はクールーマさんがギニア出身と分かったとたん、タクシーから降ろせと騒いだという。
AACのステファニー・アーサー(Stephanie Arthur)氏はAFPの取材に、正確な数は把握していないとしたうえで、エボラ出血熱の問題がアフリカ出身の子どもたちへのいじめを増長させていると懸念を示した。
こうした傾向はニューヨークに限ったものではない。米国初のエボラ感染による死者が出たテキサスでも、アフリカ系の子どもたちがエボラと呼ばれ、いじめを受けているという。
米国で大規模なアフリカ系住民コミュニティーが存在する州は、カリフォルニア(California)、ニューヨーク(New York)、テキサス(Texas)、メリーランド(Maryland)、バージニア(Virginia)など。(c)AFP/Jennie MATTHEW