【10月31日 AFP】ナイジェリア検察当局は30日、21歳年上の夫を毒殺したナイジェリアの14歳の少女に死刑を求刑する方針を明らかにした。ナイジェリア国内では、イスラム教徒が多く保守的な北部における児童婚のあり方、特に思春期の少女に花嫁となることへの合意を問えるのかをめぐって、議論が沸騰している。

 北部の貧困家庭出身のワシラ・タシウ(Wasila Tasi'u)被告(14)は今年4月、ウングワルヤンソロ(Unguwar Yansoro)村に住むウマル・サニ(Umar Sani)さん(当時35)と結婚したが、2週間後に夫の食事に殺鼠(さっそ)剤を入れて殺害。殺人罪で起訴された。

 ナイジェリア第2の都市カノ(Kano)郊外ジェサワ(Gezawa)の高等裁判所で開かれた公判で、検察側はタシウ被告を「有罪なら死刑に相当する」殺人罪1件で修正起訴し、最高刑を求刑する方針を示した。

 キリスト教徒が多数を占める南部を中心とする人権活動家らは、タシウ被告が夫に性的暴行を受けた可能性を指摘し、被告は被害者だとして即時釈放を求めている。

 しかし、事件が起きた北部はイスラム法(シャリーア)と世俗法(一般法)に基づく刑法が混在し、結婚において合意があったか否かの問題を複雑にしている。

 タシウ被告の家族は、被告が結婚を強制されたとの見方を否定。北部では14歳の少女が結婚するのが普通で、被告と被害者のサニさんも伝統的な求婚制度にのっとって結婚したと主張している。

 ナイジェリアの婚姻法では、21歳未満の結婚には保護者の同意が必要だが、タシウ被告の場合には父親とサニさんが結婚に合意したとの証拠がある。これは、強制結婚を主張する上では不利な材料だ。

 タシウ被告の弁護人は、争点はイスラム社会における児童婚問題ではなく、ナイジェリアの刑法では14歳を殺人罪で起訴できない点だとして、少年法での審理を要求している。(c)AFP/Aminu ABUBAKAR