エボラ対策で自宅待機命じられた米看護師、自転車で外出
このニュースをシェア
【10月31日 AFP】西アフリカでエボラ出血熱患者の治療に携わった後米国に帰国し、地元である北西部のメーン(Maine)州当局から隔離措置として自宅待機を命じられていた女性看護師が30日、自転車で外出した。
CNNテレビによると、取材陣が見守り撮影が続く中、ケーシー・ヒコックス(Kaci Hickox)さんは交際相手の男性と共にヘルメットをかぶって自宅から自転車で出発。2人は記者らと言葉を交わすことなく走り去り、警察車両2台がその後を追った。
ヒコックスさんはシエラレオネから米国へ帰国後、隔離テントに3日間収容された。ニュージャージー(New Jersey)州のクリス・クリスティー(Chris Christie)知事は27日になって隔離措置を解除し、ヒコックスさんは車で自宅のあるメーン州まで送られた。しかしメーン州は、エボラウイルスの潜伏期間21日間のうちまだ12日残っているとして、ヒコックスさんに自宅待機するよう命じていた。
ヒコックスさんはこれに強く反発したが、同州は必要ならば裁判所命令で自宅待機させるという方針を示した。
NBCニュースによると、ヒコックスさんは29日遅く、同州フォートケント(Fort Kent)の自宅で恋人に付き添われて、「体調は万全で症状も一切ないにもかかわらず、州は私が家を出て外部と接触することを許可してくれない」と訴え、もし州が裁判所命令で来月10日までの自宅待機を強制するなら提訴も辞さないと述べた。
ヒコックスさんは、「科学的な根拠もないのに、自分の市民権が侵されるのを傍観しているわけにはいかない」と主張した。
ニュージャージー州やニューヨーク(New York)州、また国防総省といった一部の州や行政機関は、西アフリカでエボラ出血熱患者の治療に当たった後、米国に帰国した医療従事者の隔離を命じており、この措置が大きな議論を巻き起こしている。
その高まる議論の中でバラク・オバマ(Barack Obama)大統領は、国民を安心させようと努めている。29日には帰国した医療従事者との面会後にホワイトハウス(White House)で会見し、自ら志願して治療の最前線に立った人々はその貢献をたたえられるべきだと発言した。(c)AFP