白色の太陽電池モジュール、スイス企業が製造方法を開発
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【11月14日 AFP】建物の外壁と調和し、存在がほぼ分からなくなる白色の太陽電池モジュールを製造する方法を開発したと、スイスの開発研究企業が前月、発表した。
応用研究を行っている非営利企業「スイス・エレクトロニクス・マイクロテクノロジー・センター(Swiss Center for Electronics and Microtechnology、SCEM)」によると、同社はセルや接続部が目立たない白色の太陽電池モジュールを製造可能な新技術を開発したという。「過去数十年間、建築家たちは太陽光発電の部品の色をカスタマイズし、建物の外観と調和する方法を求めてきた」と、同社は声明で述べた。
SCEMによれば、太陽光の吸収を最大化するために設計されたごく一般的な濃い青色の太陽電池モジュールの問題は、「視覚的に美しくない」見た目だった。
上品さと汎用性を兼ね備えていることから人気の高い白色だが、光を吸収するよりも反射する傾向があるところが難題だったとSCEMは述べる。
この問題を解決するため、SCEMは太陽の赤外線を電力に変換する太陽電池技術を採用し、「赤外線を通す一方で、可視スペクトル全域を反射する」特殊なフィルターと組み合わせた。この手法を用いれば、結晶シリコンの太陽発電技術を用いて、純白を含めどのような色の建物にも境目なく調和するモジュールを作ることができるという。
■ノートパソコンや車への応用、動作温度が低い利点も
「この技術は既存のモジュールの上に適用することもできれば、製造中の新規モジュールに組み込むこともでき、平面にも曲面にも利用可能」とSCEMは述べる。また、建物の他にも、ノートパソコンや自動車産業、家電製品への応用でも「かなりの注目」を集めることを見込んでいる。
審美的な魅力に加え、白色の太陽電池は他にも利点があるという。反射される可視光線は熱の原因にはならないため、白色の太陽電池は従来のものと比べて20~30度低い温度で動作することになると、同社は述べた。(c)AFP