国連総長、エボラ治療従事者の強制隔離を非難
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【10月28日 AFP】国連(UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-moon)事務総長は27日、エボラ出血熱の感染が拡大している国々で働く医療従事者らの「無私」の努力を称賛するとともに、医療従事者らが任務を離れて自国へ戻った際に強制される隔離措置を非難した。
アフリカ連合(African Union、AU)の本部があるエチオピアの首都アディスアベバ(Addis Ababa)を訪問した潘事務総長は、「感染から何とか身を守って帰国した医療従事者らは人類に貢献してくれている類まれな人々だ。そういう人たちに科学的根拠のない制限を適用すべきではない。その無私の尽力が踏みにじられるようなことがあってはならない」と述べた。
これに先立ち米ニュージャージー(New Jersey)州では、シエラレオネでエボラ熱患者の治療に当たった後に帰国し、隔離された米国人看護師のケーシー・ヒコックス(Kaci Hickox)さんが、犯罪者のような扱いを受けたと訴えていた。
ヒコックスさんは24日、同州のニューアーク国際空港(Newark Liberty International Airport)に到着後、病院の外にあるテントに隔離され、紙の手術着を着用するよう命じられた。翌日ヒコックスさんは、何の症状もなく検査結果も陰性だったとして、「基本的人権が侵害されたような気分だ」などと批判。当局によると、ヒコックスさんは27日に退院を許された。
潘国連事務総長は、医療従事者らは支援されるべきであって、隔離すべきではないと訴え、「(エボラ熱と)闘っていく上で、われわれは医療従事者らに頼らざるを得ない。感染が広がっている諸国のために働くことを選んだからといって、彼らを隔離しないでほしい」と呼び掛けた。
西アフリカでは、これまでに5000人近い命を奪っているエボラ出血熱の「震源地」となっている。(c)AFP/Jacey FORTIN