【10月27日 AFP】インドの首都ニューデリー(New Delhi)は先週、ヒンズー教の光の祝祭「ディワリ(Diwali)」を祝うために使われた大量の爆竹により、濃いスモッグに覆われた。世界中で最も大気汚染が深刻な都市の一つとして知られるニューデリーでは一方で、この問題に対する懸念が高まっており、爆竹を鳴らす習慣をやめようとの呼び掛けも行われている。

 ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が提唱する「クリーン・インディア(きれいなインド)」の一環として今月から導入された大気質指標によると、ディワリの翌日だった24日、ニューデリーの大気汚染レベルは最悪の「深刻」に達した。

 これは、最も有害とされる大気中の微小粒子物質「PM2.5」の濃度が大気1立方メートル当たり250マイクログラムを上回り、世界保健機関(World Health OrganizationWHO)による上限値の10倍に達したことを意味している。

 インド当局は国民に対し、大気汚染の原因となる上に使用による負傷が毎年後を絶たない爆竹の使用を控えるよう訴えてきた。ニューデリーの大気質はここ数年、ディーゼルエンジンや石炭火力発電所、工業活動による排気などからの公害を伴う急速な都市化の結果として、確実に悪化し続けている。

 このほかニューデリーでは、西部ラジャスタン(Rajasthan)州の砂漠地帯から風によって運ばれてくる大気粉塵の問題や、都市部に住む貧困層の人たちが調理をしたり、冬場に暖を取ったりするために燃やすたき火が原因の公害も発生している。

 WHOの調査では、ニューデリーのPM2.5の年間平均濃度は1立方メートル当たり153マイクログラムで世界最高となっており、公共交通機関の整備を急ぐことが急務だと指摘されている。(c)AFP/Annie BANERJI