【10月26日 AFP】西アフリカでエボラ出血熱患者の治療にあたり、帰国後に隔離されている米国人の看護師が25日、まるで「犯罪者」のように扱われたとして、自身に対する空港などの対応を厳しく批判した。

 緊急医療援助団体「国境なき医師団(Doctors Without BordersMSF)」の職員としてシエラレオネで活動していたケーシー・ヒコックス(Kaci Hickox)さんは24日、米ニュージャージー(New Jersey)州のニューアーク国際空港(Newark Liberty International Airport)に到着。現在はエボラウイルスの潜伏期間とされる21日が経過するまで、病院で隔離されている。

 同州とニューヨーク(New York)州で、西アフリカでエボラウイルスの感染者と接触した可能性がある医療従事者が入国する際の隔離が義務付けられたのは同日から。ヒコックスさんは最初の隔離対象者となった。

 ヒコックスさんは米紙ダラス・モーニング・ニュース(Dallas Morning News)への寄稿の中で、「他の人に私と同じ経験をしてほしくない。私に続いて帰国してくる人たちのことが心配だ」と述べた。「西アフリカでエボラと闘ってきたと申告した医療従事者たちが空港でどのような扱いを受けるか心配している。彼らも私と同じように無秩序による混乱や(他者の)恐怖心、隔離を経験するのではないかと心配している」

 シエラレオネから2日かけてニューアーク国際空港に到着したヒコックスさんは検疫所に案内され、入国管理官とみられる白い防護服に全身を包んだ男性からまるで犯罪者を相手にしているように大声で質問を投げかけられ、その場に3時間もとどめられた。

 空港では、西アフリカから帰国した医療関係者に対応する担当者が決まっておらず、誰もヒコックスさんをどうすればいいか把握していないようだったという。

 ヒコックスさんの体温は到着時には36.7度と平熱だったが、気が動転して興奮したためか到着から4時間後の検温では38.3度と発熱が疑われ、うちひしがれていたヒコックスさんはさらに3時間にわたって部屋に1人で置いておかれた。

 その後、病院に連れていかれた際には合わせて少なくとも8台の警察車両がサイレンを鳴り響かせ、ランプを点滅させながら車列をつくった。こうした中でヒコックスさんは、一体自分が何の悪事を働いたのだろうと頭を悩ませ、これから帰国してくる多くの同僚たちが、自分と同じ目に遭うのだろうかと不安に思ったという。

 病院に到着後の検温ではヒコックスさんの体温は平熱に戻っており、エボラウイルスの感染を調べる血液の初期検査でも陰性だった。(c)AFP