英国人の歯周炎、ローマ時代より現代の方が多い 研究
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【10月25日 AFP】英国人の歯周炎は今よりもローマ時代の方がずっと少なく、歯ブラシや歯科医の登場にもかかわらず、現代の方が口腔衛生は悪化しているとする研究論文が専門誌、英国歯科ジャーナル(British Dental Journal)に24日、掲載された。
キングス・カレッジ・ロンドン(King's College London、KCL)歯科研究所の歯周病専門医フランシス・ヒューズ(Francis Hughes)教授らの研究チームが、イングランド(England)南西部パウンドベリー(Poundbury)のローマン・ブリテン(Romano-British)時代の墓地から出土し、英自然史博物館(Natural History Museum)に収蔵されている紀元200~400年頃の人間の頭蓋骨303個を調査したところ、中程度から重度の歯周炎の痕がみられた頭蓋骨はわずか5%程度だった。 これに対し、現在の英国では成人の15~30%が歯周炎にかかっている。
現代人の大半は軽度の歯周炎にかかっており、喫煙や糖尿病のような疾患が加わるとより深刻な慢性歯周炎になって歯を失うこともあると論文は警告している。
一方、ローマ時代の頭蓋骨では歯周病の痕は少なかったが、感染症や膿瘍の痕は多く、また全体の半数に虫歯があった
また大人になるまで生存した人々の寿命は大体40代だったが、若い頃から歯の摩耗が激しかったことが示されており、これは粗粒穀物を主体としていた当時の食生活に原因があると考えられる。
ヒューズ教授によれば、歯周炎の痕はエジプトのミイラにもみられ、バビロニア人やアッシリア人、シュメール人、古代の中国人が残した文献でも言及されているという。(c)AFP