【10月24日 AFP】フランスの石油大手トタル(Total)のクリストフ・ドマルジェリ(Christophe de Margerie)最高経営責任者(CEO)ら4人が死亡した20日夜の航空機事故に関連して、事故が起きたロシアの首都モスクワ(Moscow)の空港の職員4人が新たに拘束されたことを受けて、この空港の複数の幹部が23日、相次いで辞任した。

 またモスクワの裁判所は、ドマルジェリ氏が乗っていた小型ジェット機が離陸しようとしていた時に衝突した除雪車の運転手で、事故直後に身柄を拘束されたウラジーミル・マルチネンコ(Vladimir Martynenko)容疑者(60)に対し、捜査当局が飲酒運転を指摘したことを受けて、詳しい事情聴取のためさらに2か月間の身柄拘束を言い渡した。

 当局によると、ロシアでは運転時の血中アルコールはゼロでなければならないと定められているにもかかわらず、マルチネンコ容疑者のアルコール濃度は血液1リットル当たり0.6グラムだったという。インタファクス(Interfax)通信は、同容疑者がリキュールを入れたコーヒーを飲んでいたことを認めたと伝えている。

 この運転手とは別に、ドマルジェリ氏の小型ジェット機を誘導していた女性航空管制訓練生とその指導教官、事故が発生したブヌコボ(Vnukovo)国際空港の複数の管制部幹部、滑走路の清掃担当者らが事情聴取のため新たに拘束された。

 強力な権限を持ち、今回の事故の捜査も行っている調査委員会(Investigative Committee)は、「捜査の結果、これらの職員らが航空安全と地上業務の規範を守っていなかった可能性が示唆されている」としている。

 捜査当局から幹部の「刑事上の過失」を指摘されたブヌコボ空港は、「悲劇的な事故」の責任を取って空港長と副空港長が相次いで辞任したと発表した。しかし当局はこの2人の身柄は拘束していない。

■ドマルジェリ氏の葬儀27日、後任CEOにプヤネ氏

 ドマルジェリ氏の乗っていた小型ジェット機は21日午前0時の少し前、離陸中に除雪車に衝突して炎上し、同氏は乗員3人とともに死亡した。地元関係者によると、同氏は27日、フランス北部ノルマンディー(Normandy)で埋葬されることになっている。葬儀には近親者のみが出席する予定。

 トタルは22日、ドマルジェリ氏の後任人事を発表。1995~2007年に会長兼CEOを務めていたティエリー・デマレ(Thierry Desmarest)氏を会長に、現精製・化学部門ディレクターのパトリック・プヤネ(Patrick Pouyanne)氏をCEOに任命するとしている。(c)AFP/Anna MALPAS