【10月23日 AFP】地球から63光年の距離にある恒星を周回している彗星493個の位置を特定したとの研究論文が22日、英科学誌ネイチャー(Nature)に発表された。研究では、チリ・アタカマ砂漠(Atacama Desert)にある超高感度望遠鏡が使われた。

 太陽系以外の惑星系に存在する、いわゆる「系外彗星」の観測を通じた捕捉数としては過去最多だという。

 太陽以外の恒星にも彗星があることは、これまでの研究で判明していたが、彗星は主星に比べて非常に小さく、また彗星の「尾」も主星の光に圧倒されて見えなくなるため、その存在を特定して軌道を計算するのは非常に困難だった。

 フランス・パリ天文物理学研究所(Paris Institute of Astrophysics)のフラビアン・キーファー(Flavien Kiefer)氏率いる研究チームは、若い恒星である「がか座ベータ星(ベータ・ピクトリス、Beta Pictoris)」の8年間にわたる観測結果1000件近くを詳しく調べた。

 これらの観測画像は、非常に乾燥したアタカマ砂漠にある欧州南天天文台(European Southern ObservatoryESO)のラ・シーヤ天文台(La Silla Observatory)に設置されたHARPS(高精度視線速度系外惑星探査装置)で撮影された。

 ベータ・ピクトリスは、約2000万年前に誕生した星で、恒星としてはまだほんの幼年期にすぎない。周囲の惑星や小惑星そして彗星は、この星にある巨大な円盤を構成するガスと塵(ちり)などの物質から形成されている。

 キーファー氏は、「ベータ・ピクトリスは非常に興味深い観測対象だ。ここの系外彗星を詳細に観測することにより、この種の若い惑星系でどのようなことが起きているのかを理解するための手掛かりが得られる可能性がある」と語り、惑星系の形成メカニズムの一部を観測する「すばらしい機会」を提供してくれていると説明した。(c)AFP