南極探検隊のノート、氷の中からみつかる 100年ぶり
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【10月23日 AFP】ニュージーランドの民間団体、南極歴史遺産トラスト(Antarctic Heritage Trust、AHT)はこのほど、約100年前に南極点に到達するも、その帰路で遭難・死亡した英ロバート・スコット(Robert Scott)探検隊のメンバーが残したノートが発見されていたことを明らかにした。当時の状況などについて、非常に詳しい記述がなされているものだという。
ノートはスコット探検隊に参加していた科学者ジョージ・マレー・レビック(George Murray Levick)のもので、1911年に南極大陸に上陸した際の基地に残されていた。周辺の氷が解けたことで昨年になって発見された。
ノート書き込まれていたのは日付や気候など日常的な事柄だが、撮影した写真についての説明も含まれていた。また、書かれた文字は現在でも判読可能だが、長年にわたって凍結状態にあったことから、装丁は崩れていたという。
探検隊の最期を明らかにしようと、7年にわたって調査を続けてきた同トラストのナイジェル・ワトソン(Nigel Watson)理事長は、「公式記録に書かれていなかった事実を明らかにするものだ」と新たな発見についてコメントした。
南極大陸に到着した同探検隊は、2つのグループに分かれた。南極点初到達を目指したスコットのグループは、1912年1月17日、ノルウェーのロアール・アムンゼン(Roald Amundsen)隊から遅れること1か月、ようやく南極点に到達した。スコット隊はその帰路で全員が遭難死している。
一方、科学的観察を行いながら沿岸を進んだレビックらの別のグループは基地に無事に帰還したものの、氷に行く手を阻まれて身動きが取れなくなり、スコットらの救助に向かうことができなかった。
南極歴史遺産トラストはこれまでにも、英探検家アーネスト・シャクルトン(Ernest Shackleton)の探検隊が1908年に南極点を目指した際に持参したウイスキーのボトルが入った木箱や、1914年~17年の探検の際にロス海(Ross Sea)で紛失した写真のネガを発見している。(c)AFP