【10月22日 AFP】カナダ政府は21日、テロ警戒水準を「低」から「中」に引き上げた。政府高官が発表した。

 同国のケベック(Quebec)州ではこの前日、過激派の疑いがあった男がスーパーマーケットの駐車場で兵士2人を車ではね、逃走した末に警察に射殺される事件が発生。兵士のうち1人は、搬送先の病院で死亡した。

 ただ、テロ警戒水準の引き上げについて当局は「具体的な脅威」が示されたことが直接の理由ではないとしている。カナダ治安省の報道官は、「中」の水準について「国内または国外の個人または団体がテロ行為を実施する意図や能力を持っていることを示す情報を入手したことを意味する」と説明した。

 カナダ連邦警察によると、兵士を車ではねたのはマルタン・クーチュールルーロー(Martin Couture-Rouleau)容疑者(25)。今年7月にトルコに向けて出国しようとしたところ、国内の空港で身柄を拘束されたが、外国のテロ組織に参加しようとしていたことを示す十分な証拠がなかったため釈放されていた。

 イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」はイスラム教徒に対して先月、米国主導の有志連合に参加する欧米諸国の市民らの殺害を呼び掛けていたが、今回の事件はそれに応じたものとも受け取れる。

 スティーブン・ブレーニー(Steven Blaney)治安相は記者会見で、犯行は意図的なものであり、「テロリストのイデオロギーと関連していることは明らか」と述べている。(c)AFP/Michel COMTE