【10月21日 AFP】エボラ出血熱が流行している国々からの渡航者を出国時にスクリーニング検査する方が、外国への到着時に監視するよりもはるかに賢明とする調査報告が21日、英医学専門誌ランセット(Lancet)に掲載された。

 各国は、自国の国境における水際対策に頼るのではなく、リベリアやギニア、シエラレオネにおけるエボラ出血熱患者の発見率向上を支援すべきとしている。

 専門家らの分析によると、出国時のスクリーニング検査を行う場合、監視が必要とされるのはギニアのコナクリ(Conakry)、リベリアのモンロビア(Monrovia)、シエラレオネのフリータウン(Freetown)にある3国際空港のみ。しかし、到着時に検査を行う場合、同様の効果を得るためにははるかに多くの資力が必要となる。

 リベリア、ギニア、シエラレオネからの直行便は、15か国の16空港に乗り入れている。これらの空港からは、1238都市への乗り継ぎ便が発着しているが、利用者全体のうち同3か国からの乗客の割合は、2500人のうちの1人にすぎない。

 調査チームは、2014年の運航計画と2013年の乗客の移動パターンを調べ、ウイルスが乗客によって運ばれるリスクを予想。統計的には、出国時にスクリーニング検査をしない場合、毎月3人のエボラ感染者が、エボラが流行している国の国際空港から出国しているという。

 報告書は、「西アフリカから到着した乗客の空港でのスクリーニング検査は、安心感をもたらしてくれる一方、わずかな効果しかなく、より効果的な公衆衛生の介入策から貴重な資力を奪い去ってしまう可能性がある」と指摘している。(c)AFP/Mariette LE ROUX