【10月20日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)の過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」は19日、トルコと国境を接するシリア北部の町アインアルアラブ(Ain al-Arab、クルド名:コバニ、Kobane)をめぐる戦闘で、大きな犠牲を被った。

 米中央軍(US Central Command)によると、米軍主導の有志連合の戦闘機は18、19の両日にコバニ付近への空爆を11回実施し、トルコとの補給線の遮断を狙い新たな攻撃を仕掛けたイスラム国から町を防衛するクルド人部隊を支援した。

 クルド当局者によると、1か月以上イスラム国の攻撃下にあるクルド人部隊は19日、激しい市街戦とイスラム国による少なくとも2件の自爆攻撃を切り抜けたが、前線は変わらないままだという。

 一方のイスラム国側は、コバニで大きな損失を受けている。非政府組織(NGO)「シリア人権監視団(Syrian Observatory for Human Rights)」によると、18日から19日朝にかけ計31人のイスラム国戦闘員が死亡した。

 米中央軍によると、米主導の有志連合は、コバニ付近のイスラム国の陣地20か所、車両5台と、イスラム国が占拠した建物2棟を空爆。シリア人権監視団によると、イスラム国の戦闘員15人が殺害された。さらに地上戦ではイスラム国の戦闘員16人が死亡、クルド人部隊は7人が死亡したという。

 また同監視団によると、コバニの東にあるイスラム国の支配下の町テルアビヤド(Tal Abyad)の病院には、ここ4日間で少なくとも70人のイスラム国戦闘員の遺体が運び込まれた。米軍は、コバニをめぐる戦闘で「期待の持てる」兆候が出ているとしつつも、コバニが陥落する恐れはまだ残っていると警告している。(c)AFP/Fulya Ozerkan with Sara Hussein in Beirut