サイディング・スプリング彗星が火星接近、新たな知見に期待
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【10月19日 AFP】小さな山とほぼ同じ大きさのサイディング・スプリング(Siding Spring)彗星(すいせい)(別名C/2013 A1)が米東部時間19日午後2時27分(日本時間20日午前3時27分)、火星に約14万1600キロの距離まで接近する。米航空宇宙局(NASA)は、100万年に一度とされるこの機会を撮影しようとしている。
天文学の専門家らは、同彗星が衝突すれすれまで火星に接近する可能性はないと予想しているものの、太陽系の誕生に関する手がかりを得るのに十分な距離まで近づくと期待する。同惑星が数十億年前、太陽系はずれのオールトの雲(Oort Cloud)で生まれたと考えられているためだ。
英ノッティンガム・トレント大学(Nottingham Trent University)で天文学を研究しているダン・ブラウン(Dan Brown)氏は、「基本的にC/2013 A1のような彗星は、岩石とちりが凍結したガスに覆われた、汚れた雪玉のようなものだ」と説明した上で、「この彗星が太陽系の中心に向かってくるのは初めてで、彗星を構成する物質は基本的に太陽光を受けても変化しないため、46億年前の初期の太陽系の物質組成についての知見を与えてくれる」とコメントした。
NASAは同彗星から放出される高速のちりとの衝突による破損を避けるため、マーズ・リコネサンス・オービター(Mars Reconnaissance Orbiter)、マーズ・オデッセイ(Mars Odyssey)、メイブン(MAVEN、Mars Atmosphere and Volatile Evolution)といった探査機を火星の向こう側に移動させた。専門家らはこれらの探査機の位置が変わっても、同彗星の接近通過に際し、研究につながる大量のデータが収集できることを願っている。
NASAによると、火星探査車キュリオシティー(Curiosity)とオポチュニティー(Opportunity)は、今後数日から数か月の間、搭載カメラを上空に向けて通過中の同彗星の画像を撮影する。(c)AFP/Kerry SHERIDAN