【10月18日 Relaxnews】芸術発祥の地は欧州だとする通説を覆す可能性がある洞窟壁画が発見されたインドネシア・南スラウェシ(South Sulawesi)州の当局は先ごろ、本格的に壁画の保護に乗り出す方針を表明した。国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産への登録に向け、インドネシアの「文化遺産」としての国内暫定リストへの掲載を目指す計画だ。

 この洞窟の壁画の中には、4万年前に描かれたとみられる手形のステンシル画がある。岩に押しつけて広げた手の周囲に赤っぽい色の顔料を吹きつけて描かれたものだ。

 インドネシアとオーストラリアの国際研究チームは先ごろ英科学誌ネイチャー(Nature)に、世界最古の芸術作品とされる欧州各地の洞窟絵とほぼ同年代か、それ以前に描かれたものの可能性があるとの研究結果を発表。また、この洞窟で発見されたイノシシの仲間「バビルサ」の絵は年代測定の結果、約3万5000年前に描かれたことが確認されたと明らかにしていた。

 南スラウェシ州のマロス(Maros)には歴史的価値があるとされる洞窟が138か所あるが、それぞれに関する集中データベースなどは今のところ作成されておらず、組織的な管理がなされていない。しかし、これらがインドネシアの「文化遺産」であると認められれば、中央政府がより深く関与することになり、より良い体制の下での保護が実現する。

 州当局は2005年にも、この洞窟をユネスコ世界遺産への登録を目指したい考えを示していた。 (c)Relaxnews/AFPBB News