【10月18日 AFP】ナイジェリア政府は17日、イスラム過激派組織「ボコ・ハラム(Boko Haram)」との間で、停戦およびボコ・ハラムが拉致していた女子生徒200人以上を解放することで合意に達したと発表した。しかし、それが事実なのか懐疑的な見方が広がっている。

 ナイジェリア国防軍を率いるアレックス・ベイデー(Alex Badeh)空軍大将は、ナイジェリアの首都アブジャ(Abuja)で開かれた会議でナイジェリアとカメルーンの軍幹部らを前に、ナイジェリア政府とボコ・ハラムの間で停戦合意が結ばれたと明らかにし、速やかにこの合意を順守するようナイジェリア軍の幹部らに命じたと述べた。

 ベイデー大将の発表に先立ち、グッドラック・ジョナサン(Goodluck Jonathan)大統領のハッサン・タクル(Hassan Tukur)主席補佐官はAFPに、ボコ・ハラムとの交渉の結果、停戦と、今年4月から人質になっていた女子生徒219人の解放で合意に達したと述べていた。

 ジョナサン大統領は今後数週間のうちに次期大統領選への立候補を表明するとみられており、ボコ・ハラムとの停戦や女子生徒らの解放はジョナサン氏の政治的立場を強めるだろう。しかし、ボコ・ハラムとの合意という発表に対する大方の見解は懐疑的だ。

 ボコ・ハラムの専門家で、ナイジェリア政府を代表してボコ・ハラムと交渉しているシェフ・サニ(Shehu Sani)氏は、タクル補佐官がボコ・ハラムの代表者だとしているダンラディ・アフマドゥ(Danladi Ahmadu)という人物については「聞いたこともない」と述べた。

 ラルフ・ベロファディレ(Ralph Bello-Fadile)ナイジェリア国家安全保障補佐官(National Security AdvisorNSA)顧問によると、NSAにはボコ・ハラム指導者アブバカル・シェカウ(Abubakar Shekau)容疑者の代理を名乗る詐欺師が殺到しているという。

 同氏は、英王立国際問題研究所(チャタムハウス、Chatham House)が13日にアブジャで開いた会議で、「政府は交渉を求めているが、これまでシェカウの代理として現れた人物は一人もいない」と語っていた。

 ナイジェリア政府の安全保障分野の報道官マイク・オメリ(Mike Omeri)氏も、拉致された女子生徒の解放についてまだ合意に達していないと述べた。

 米政府も、実際に合意があったかどうか、現時点で確認できていないとしている。(c)AFP/Ola AWONIYI, with Ben SIMON in Lagos and Aminu ABUBAKAR in Kano