【10月17日 AFP】イスラム教スンニ派(Sunni)過激派組織「イスラム国(Islamic StateIS)」に参加した父親によってシリアに連れていかれたコソボの8歳の少年が、5か月ぶりにコソボ情報機関によって救出され、無事に自宅に帰った。コソボ政府が16日、発表した。

 コソボ首相官邸が発表した声明によると「コソボ情報局(KIA)は、エリオン・ゼナ(Erion Zena)君の所在を突き止め、母親の元へ帰す作戦を成功裏に完了させた」という。

 エリオン君は15日夜、コソボの首都プリシュティナ(Pristina)の空港で、母親のプランベラ・ゼナ(Pranvera Zena)さんと再会を果たした。プランベラさんは「今日は最高の日。他の母親たちには、私と同じような思いはしてほしくない」と語った。

 プランベラさんと一緒にエリオン君を出迎えたアティフェテ・ヤヒヤガ(Atifete Jahjaga)大統領は、救出作戦は母親の承認を得た「正当な」ものだったと述べた。作戦の詳細は明かされていない。

 プランベラさんによると、エリオン君は今年6月、父親のアルベン・ゼナ(Arben Zena)氏によってシリアに連れていかれた。プランベラさんはシリア行きには同意していなかったという。アルベン氏はプランベラさんに、エリオン君を小旅行に連れて行くと言って出かけたが、実際には隣国アルバニアへ向かい、そこから空路でトルコを経由してシリアの戦闘地域の前線へ行ったという。

 その後、ソーシャルネットワーク上にはシリアでイスラム国の合図である1本指を立てるしぐさをしたエリオン君の画像が投稿されていた。

 コソボ警察当局によると、シリアには現在約150人のコソボ人がおり、これまでに自爆テロを含む戦闘で16人のコソボ人が死亡している。

 2008年にセルビアからの独立を一方的に宣言したコソボでは、ここ数か月の間にイスラム国への参加を勧誘した疑いで50人以上のイスラム教徒が逮捕されている。その中には、プリシュティナ最大のモスクのイマーム(イスラム教指導者)であるシェフケ・クラスニキ(Shefqet Krasniqi)師ら十数人のイスラム教指導者も含まれている。(c)AFP