小型核融合炉の実用化へ「飛躍的前進」、米ロッキード
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【10月17日 AFP】米航空防衛機器大手ロッキード・マーチン(Lockheed Martin)は15日、核融合に基づく電力源の開発において技術的に大きな飛躍を遂げたとする声明を発表し、トラックの荷台に納まるほど小型の原子炉の開発を可能にしたと述べた。最初の実用可能な原子炉は早ければ10年以内に準備が完了する見込みとしている。
米首都ワシントンD.C.(Washington D.C.)に近いメリーランド(Maryland)州ベセスダ(Bethesda)に本拠を置く同社によると、新型の小型核融合炉は従来の原子炉よりそのサイズが小さいため、核融合炉の設計・建設・試験運転までを1年足らずで行うことが可能だという。
同社の開発チームは、これらのサイクルを数回完了させた後、5年以内に試作機を完成させる計画を立てていると述べた。
ロッキード・マーティンの開発チーム「スカンクワークス(Skunk Works)」の革新技術部門「Revolutionary Technology Programs」で小型核融合炉の開発チームを率いるトム・マクガイア(Tom McGuire)氏は「われわれの小型核融合炉のコンセプトは、いくつかの代替的な磁場閉じ込め方式のアプローチを組み合わせたもので、それぞれの最も優れた部分を取り入れている。これにより、従来のコンセプトに比べて9割の小型化を実現できる」と説明している。
開発チームは、この技術を推進する助けとなる提携先を探す計画も立てている。
だがオーストラリアに本拠を置くROAMコンサルティング(ROAM Consulting)のジョエル・ギルモア(Joel Gilmore)氏は、ロッキード・マーティンの今回の発表は実用レベルの試作機や商業的に実現可能な発電機からはまだ「程遠い」ところにあると指摘。
「核融合には途方もない高温と高圧が不可欠だ。これは大きな難題であり、長きにわたって多くの人が核融合に取り組んでいる。なので私はまだ手放しで喜べない」
そして「たとえ成功したとしても、核融合電力のコストはどのくらいになるかが大きな問題になる。特に世界有数の風力および太陽光資源を有する豪州では、従来型の再生可能エネルギー源の減少傾向にあるコストと競合することは大きな難題になるに違いない」とも述べている。(c)AFP