【10月17日 AFP】欧州連合(EU)は16日、世界で近年最も深刻な公衆衛生の緊急事態と認識されているエボラウイルスの感染拡大を食い止めるため、エボラ出血熱がまん延している西アフリカ諸国からEU加盟国に向けて出国する旅行者の検査体制を見直す方針を明らかにした。

 また世界保健機関(World Health OrganizationWHO)も、人類が知る限り最も致死性の強いウイルスの一つとされるエボラが、まだ感染の広がっていないアフリカの15か国に入らないよう阻止する努力を強化していることを明らかにした。

 欧州委員会(European Commission)のトニオ・ボルジ(Tonio Borg)委員(保健・消費者保護担当)は、「エボラウイルスがまん延している国々における出国時の検査体制の徹底調査を直ちに実施し、その有効性を確認するとともに、必要に応じて強化していく」と述べた。

 またベルギー・ブリュッセル(Brussels)で会合を開いたEU加盟各国の保健相らは、EU加盟国への入国管理での検査措置を統一していくことで一致したが、入国時の検査に関する判断は各加盟国に委ねるとした。

 ボルジ欧州委員によると、感染拡大が最も深刻なリベリア・ギニア・シエラレオネの3か国における出国検査の見直しはWHOと連携して行っていくという。

 西アフリカでエボラウイルスに感染して欧州へ戻る医療従事者が相次いでいるが、欧州内で感染が起きたと確認された事例はこれまでのところ、スペインの首都マドリード(Madrid)の看護師1人だけ。

 WHOによると12日現在で、今年に入ってエボラウイルスに感染した人は疑い例も含めて8997人、死者は4493人に上ったという。(c)AFP/Nina LARSON