【10月16日 AFP】うぬぼれと気前の良さ、自己顕示欲、そして不安の入り交じった行為だった――アイルランドのロックバンド「U2」のボーカル、ボノ(Bono)が、米アップル(Apple)のiTunes(アイチューンズ)ユーザー向けにU2の最新アルバムを無料配信したことについて謝罪した。

 U2は先月、アップルの新機種発表会でのコラボレーション企画として、世界5億人超のiTunesユーザーに最新アルバム「ソングズ・オブ・イノセンス(Songs of Innocence)」を無料配信した。しかし、希望していないにもかかわらず自動的にダウンロードされてしまったユーザーからは、iPhoneの貴重な保存容量が欲しくもない楽曲に占領されてしまったなどの苦情が相次ぎ、アップルが削除専用のウェブサイトを開設する騒動になっていた。

 U2は15日、メンバー4人がファンから寄せられた質問に答える動画を交流サイト最大手フェイスブック(Facebook)の公式ページに掲載。この中で、無料の自動ダウンロードはもうやめてほしいとのファンの申し入れに、ボノが謝罪した。

 このメッセージの送り主、ハリエット・マデレン・ジョブソン(Harriet Madeline Jobson)さんは、無料配信について「本当に失礼なこと」と批判。これに対し、トレードマークのサングラス姿のボノは、後悔している様子で「しまった…申し訳なかった」と答えた。

「この素晴らしいアイデアを思いついたことで、僕らは舞い上がってしまっていたのかもしれない」と続けたボノは、「アーティストというのは、こういうことをやらかしがちなんだ。ちょっとした誇大妄想と、ささやかな気前の良さ、わずかばかりの自己顕示欲、それからこの数年の人生をかけて作った歌を聞いてもらえないかもしれないという深い恐怖心があった」と心境を吐露。「世間では大きな騒ぎになっている。僕ら自身も、少し騒々しかったのだと思う」と述べた。(c)AFP