【10月15日 AFP】世界の家計資産は今年6月末までの1年間に8.3%もの大幅な伸びをみせ、過去最高の263兆ドル(約2京8200兆円)に達した一方、貧富の格差は一層広がったとみられることが、スイス金融大手クレディ・スイス(Credit Suisse)が14日発表した世界の家計資産に関する包括的な調査報告書「グローバル・ウェルス・レポート(Global Wealth Report)」で明らかになった。

 報告書によると、今年6月末時点の世界の家計資産は、2007年に始まった世界金融危機前の最高水準を20%、世界金融危機の最悪の時期(2008年)の水準を39%上回った。

 報告書は「この1年、世界経済は依然として低迷を続けていたかもしれないが、個人の富の増大の妨げにはならなかった」としている。

 200か国以上の成人およそ47億人を対象に実施した調査の結果、2000年に合計117兆ドル(約1京2600兆円)だった家計資産は2倍以上に増え、さらに向こう5年間で40%増加し、369兆ドル(約4京円)に達する見通しだという。

 今回の報告書によると今日、世界の成人の純資産額の平均は5万6000ドル(約600万円)で過去最高となった。個人の平均純資産額は金融危機以前の最高額を7.0%上回ったものの、個人の純資産額の中央値(データを大きさの順に並べたとき全体の中央にくる値)は2007年より14%少ない3641ドル(約39万円)だった。

 報告書は、個人の純資産額の中央値が下がったことは、2000~2007年には横ばい、あるいは縮小していた貧富の格差が、2008年以降、特に発展途上国で拡大に転じたことを示すものだとしている。(c)AFP/Nina LARSON