IAEA、エボラウイルス検出装置提供へ 診断の迅速化図る
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【10月15日 AFP】国連(UN)の国際原子力機関(International Atomic Energy Agency、IAEA)は14日、エボラ出血熱の流行が発生している西アフリカ諸国に、診断の迅速化を助ける機器を提供すると発表した。
IAEAは「逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)」と呼ばれる技術を用いた機器を「今後数週間以内に」シエラレオネに送る予定としている。
オーストリア・ウィーン(Vienna)に本部を置くIAEAによると、RT-PCRは数時間以内のエボラウイルス検出を可能にするという。また他の方法では細胞培養で数日間増殖させてからでないと診断が確定されないとしている。
「早期診断は、適切な診療と組み合わせた場合、患者をより早期に隔離し治療することを可能にする。患者の生存確率を高める上、感染の拡大を抑える助けにもなる」とIAEAは声明で述べている。
IAEAはその他に、冷却装置、バイオセキュリティー装備、診断キットなども同時に発送する予定。同様の支援はリベリアとギニアにも提供される。
シエラレオネなどの感染に見舞われている国々では、すでにRT-PCRが導入されているが、診断キットなどの機材が不足しているためにその機能は十分に発揮されていない。
国連食糧農業機関(UN Food and Agriculture Organization、FAO)と共同で開発されたRT-PCRは、家畜に長年重大な被害を及ぼしてきた感染症の牛疫(ぎゅうえき)の世界的な根絶に寄与した。
RT-PCRでは当初、ウイルスの存在を判定するのに放射性同位元素が用いられていたが、後の検出プロセスの改良により、現在では蛍光マーカーが用いられるようになっている。(c)AFP