【10月13日 AFP】パキスタン北西部のスワト渓谷(Swat Valley)に住むサイマ・ビビ(Saima Bibi)さんが結婚したのは、わずか13歳の時。借金の清算代わりの結婚だった。ノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞が決まったマララ・ユスフザイ(Malala Yousafzai)さん(17)が育ったこの地域では、一般的な慣習だ。

 学校ではクラスでトップの成績を誇る優秀な女子生徒だったビビさんだったが、学校を中退し、勉学の夢をあきらめざるをえなかった。

 だが現在、22歳になったビビさんは、夫や義理の両親に学校に戻りたいと願い出る「勇気」を、マララさんが与えてくれたと語る。4人の子どもたちに最後まで教育を続けさせるという決心もした。

 検診のためスワトの主要都市ミンゴラ(Mingora)を訪れたビビさんは、AFPの取材に「新聞に載ったマララの写真を見るたび、家族はみんな、イスラムに対する陰謀だと言っていたけど、私は最初から彼女が好きだった」と語った。

 マララさんのノーベル賞受賞によって、パキスタンの子どもたち、とりわけ女子の就学率や識字率の著しい低さに関心が集まっている。教育支援団体のアリフ・アイラーン(Alif Ailaan)氏によると、パキスタンでは5~16歳の子どもたち2500万人が学校にいっておらず、このうち1400万人が女子だ。

 スメラ・カーン(Sumera Khan)さん(21)も、8年生(日本の中学2年生に相当)で退学せざるをえなかった。だがカーンさんの場合、その理由は結婚ではない。「勉強は好きだったけど、私が住んでいた村には中高レベルの女子校がなかったんです」。ミンゴラの自宅で2人の子どもたちが遊びまわるなか、夕食の支度をしながらカーンさんは語った。

 カーンさんもまた、マララさんから刺激を受けたという。「彼女は私に再び勉強を始める勇気をくれました。今は個人的に勉強をしようと考えています。私もマララのように自分のために声を上げたい」