【10月13日 AFP】中国東部は2024年までの今後10年間で、過去最高を記録した2013年の猛暑と同程度の夏がその半数以上に上るとの予測を示した研究論文が、12日の英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に掲載された。2013年は、猛暑とともに壊滅的な干ばつが同地域を襲った。

 カナダ環境省の張学斌(Xuebin Zhang)氏率いる中国、カナダ、米国の国際研究チームが発表した論文によると、現在の地球温暖化傾向に基づくと、今後10年間で温室効果ガス排出量の増加が抑制されたとしても、この猛暑は発生するという。

 中国東部の2013年の夏は観測史上最も気温が高く、長期平均を1.1度も上回った。

 6月から8月の期間に気温が「猛暑日」の基準の35度以上に達した日数は31日に上り、例年の2倍以上となった。

 記録的な猛暑の影響を受けたのは9省5億人で、同国で最も人口が多く、経済的に発展した地域における直接の経済的損失は590億人民元(約1兆345億円)とみられている。

 研究チームの論文によると、中国東部で2013年と同程度の夏が発生する確率は、1950年代初めより約60倍増加したという。

 研究チームは、同地域の急速な都市化も、そのリスクを増大させる一因となっていると指摘。コンクリートの建物や舗装された道路が日中に熱を蓄え、その熱が夜間にすべて発散されないことから、日中の気温が徐々に上昇する「ヒートアイランド」現象(都市の高温化)の影響もあるとした。

 研究では、中国東部の1955年から2013年までの気候データと、国際的に用いられている地球温暖化シミュレーションに基づき、同地域の気温の推定が行われた。

「夏季の高温化は、これまで以上に広範囲に及び、長期間持続する深刻な猛暑を同地域に必然的にもたらすものと思われる。十分な適応措置が用意されなければ、同地域の人口および富の増加と相まって、人間の健康、農業システム、エネルギー生産・流通システムなどへのリスクを増大させることになるだろう」と論文は警告している。(c)AFP