【10月13日 AFP】神経科学の進展が学習に及ぼす影響についての大規模な調査の一環として、英国の数万人の子どもたちに睡眠やより激しい運動を課す実験の計画が先週、発表された。

 成人より遅い子どもたちの睡眠周期に授業時間を合わせると学習能力が向上することや、有酸素運動が脳機能を高めることはすでに知られている。だがその影響の度合いについてはこれまで分かっておらず、大規模な調査を行うことが決まった。

 調査は385校の6万6000人が参加し、今後数年間にわたって6つのプロジェクトが行われる。予算は英医学研究支援団体ウェルカムトラスト(Wellcome Trust)が400万ポンド(約6億9000万円)を拠出する。

「脳が情報を取得し処理する方法についての理解は深まっており、教育と学習を改善する大きな可能性を秘めている」と、ウェルカムトラストの教育・学習部門責任者のヒラリー・リーバーズ(Hilary Leevers)氏は語った。

「多くの教師らが神経科学に基づいた新たな方法を試したいと考えている。しかし、生徒たちに実際にどのような方法が有用であるかについて、われわれはこれまで証拠不足だった」

 睡眠プロジェクトには生徒ら3万1800人が参加する。同プロジェクトは、子どもの睡眠と覚醒の周期が、成人と比べて2時間遅いという研究結果──つまり子どもたちの多くは、まだ体が睡眠を欲している時間帯に学校にいることになる──に基づいている。研究チームは、授業時間を調整することで学習が改善するかどうかを調べる他、ソーシャルメディアや電子機器の常時使用が睡眠に及ぼす影響について子どもたちに教え、その効果を調べる。

 1万500人が参加する第2のプロジェクトでは、有酸素運動の度合いやその種類を変えた際の影響を調べる。2250人参加の第3のプロジェクトでは、休憩をはさみながら授業を複数回繰り返すことが、ニューロン(神経細胞)間のつながりを強化するという研究を評価する。

 計6つプロジェクトはそれぞれ別の研究チームが担当する。研究結果が明らかになるのは2017年以降の予定だ。(c)AFP