【10月9日 AFP】ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領が野生に放した絶滅危惧種のシベリアトラが、餌を求めてさまよっているうちに国境を越えて中国領内に入り込み、期せずしてロシアから中国への最新「輸出品」となったと、中国国営新華社(Xinhua)通信が9日、報じた。

 新華社によると、ロシアと中国を隔てる川を渡って中国領内に入り込んだのは、プーチン大統領が5月に野生に放したシベリアトラ3頭のうちの1頭で雄のクージャ(Kuzya)だ。クージャには追跡装置が着けられていた。

 中国の地元当局者は新華社の取材に、「必要ならば、クージャの餌として牛を放す」と話し、中国側の新たなすみかでクージャが飢えることはないと保証した。

 クージャが迷い込んだ地域では当局者らが、クージャの写真を撮るため正確な居場所を特定しようと奮起し、一方ではクージャの命を奪うことになりかねない狩猟用の罠を撤去して回るなど、大騒ぎになっているという。

 野生動物と共にいる姿を誇示することで知られるプーチン大統領。国営タス通信(Itar-TASS)はクージャについて、プーチン大統領が5月にボーリャ(Borya)、イローナ(Ilona)とともに野生に返したシベリアトラだと伝えた。

 また国営ロシア通信(RIA)は、トラ保護対策当局長が、国際協力の枠組みに準じて中国がクージャの行く末を保証することを望むと語ったと伝えている。(c)AFP