【10月9日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)のジェフリー・ウェブ(Jeffrey Webb)副会長は8日、英ロンドン(London)で行われた記者会見で、イングランドサッカー界では人種差別が行われていると語った。

 サッカー界を統括するFIFAの反人種差別特別委員長も務めているウェブ氏は、チェルシー(Chelsea)のユースチームでコーチを務めるエディー・ニュートン(Eddie Newton)氏を例に挙げて、自身の主張を説明した。

 ニュートン氏は、2011-12シーズンの欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2011-12)を制覇したチェルシーで、当時の指揮官だったロベルト・ディ・マッテオ(Roberto Di Matteo)氏のアシスタントコーチを務めていたが、それ以降はシニアチームでのポストに就けていない。

 ウェブ氏は、スポーツビジネスの首脳会議で、「それは隠しようもないことだ。92のクラブが存在しているのに、有色人種の指揮官は2人だ」と述べた。

「あらゆるクラブ、イングランドサッカー協会(Football AssociationFA)、欧州サッカー連盟(UEFA)には、何人の役員や理事がいる?それは明らかだ」

「前回ここに来た時だが、数か月前に私は夕食会を開いた。そして、チェルシーのアシスタントコーチを務めていた若手コーチの一人に会ったが、彼はチャンピオンズリーグ決勝を制し、よくやっていた」

「エディー・ニュートンのことだ。彼はインタビューさえ受けられなかった。仕事を得られなかったと言ってるのではなく、インタビューを受けられなかったんだ。あからさまなことに、それは目の前で行われていたんだ」

 現在、イングランドの4部リーグまでに所属する92のクラブで指揮を執る黒人指揮官は、ハダーズフィールド・タウン(Huddersfield Town)のクリス・パウエル(Chris Powell)監督とカーライル・ユナイテッドFC(Carlisle United FC)のキース・カール(Keith Curle)監督の2人だけとなっている。

 イングランド・プロサッカー選手協会(Professional Footballers' AssociationPFA)の最高責任者を務めるゴードン・テイラー(Gordon Taylor)氏も、イングランドサッカー界には「隠された人種差別」があると主張してきた。

 しかし、チェルシーのジョゼ・モウリーニョ(Jose Mourinho)監督は先週、「サッカーに人種差別はない」と異議を唱えた。

「優秀ならば、優秀だということだ。優秀ならば、仕事を得られる。優秀ならば、その仕事にふさわしいということを示している」

「サッカーは、トップの人間に扉を閉ざすような愚か者ではない。トップにいるものは、トップなんだ」

(c)AFP