スペイン、エボラ感染看護師の夫ら3人も隔離 欧州に危機感
このニュースをシェア
【10月8日 AFP】スペインでは7日、女性看護師がエボラウイルスに感染したことを受けて、この看護師に加えて別の3人を隔離し、さらに感染が疑われる数十人の特定作業に追われた。エボラ出血熱が欧州で拡大する恐れを危惧する声が広がっている。
欧州連合(EU)は特別処置室でどのように感染が起きたのか説明を求めた。また医療従事者らは、安全対策に問題があったとして抗議した。
感染が確認されたのは首都マドリード(Madrid)のカルロス3世病院(Carlos III Hospital)に勤務する看護師で、西アフリカでエボラ出血熱にかかり、自国で治療を受けるためスペインに帰国し、その後死亡した高齢の宣教師2人の治療に当たっていた。西アフリカでは、エボラウイルスにより今年に入って約3500人が死亡している。
地元メディアはこの看護師について、40代で「テレサ(Teresa)」という名だと報じている。同看護師は、アフリカ大陸以外でエボラウイルスに感染したことが確認された最初の患者となった。
当局者らは、同看護師が6日に隔離されるまでに接触があった人々の特定を急いでおり、52人を経過観察していることを明らかにした。そのほとんどは医療従事者だという。
カルロス3世病院の医師らは、女性看護師の夫を「感染の恐れが高い」として隔離。さらに、ナイジェリアから最近帰国したスペイン人エンジニアも、観察下に置かれている。
また同病院によるとさらに、女性看護師の同僚で、下痢の症状を訴えた1人の経過も観察しているという。
スペイン政府の関係者らは、女性看護師は、西アフリカから帰国した宣教師2人の治療に当たった後、非番だった先月30日に体調不良を感じ始めたものの、入院したのはその5日後だったと発表した。
医療従事者らの組合は、女性看護師は体調が悪化した段階でカルロス3世病院に電話連絡したが、近所の医院を受診するようにとの指示があったと指摘。これに対しカルロス3世病院のラファエル・ペレス・サンタマリナ(Rafael Perez Santamarina)院長は、最初の連絡時に入院措置としなかったのは、高熱などのエボラ熱の症状が出ていなかったからだと釈明した。
同看護師の夫ハビエル(Javier)さんは、スペイン全国紙エルムンド(El Mundo)に対し、妻は体調不良を訴えた際「何もかも指示された通りにした」と話している。
医療スタッフらは同病院前に白衣姿で集まって抗議行動を行い、アナ・マト(Ana Mato)保健相の辞任を要求した。(c)AFP/Roland LLOYD PARRY, Michaela CANCELA-KIEFFER